前回"インカのアルパカ"の話をしたが、同じくラクダ科では"ビキューナ"が最高の素材として有名だ。
ビキューナは保護動物で、山に生息し、捕獲は禁じられている。このビキューナを扱えるのは、ロロピアーナなど特定の業者に限られ、マフラーに20万~80万円という値をつける大変高価な原料である。
さて、アルパカの中で最も貴重とされる毛は、ベイビー・アルパカ=赤ちゃんアルパカの一番良い部分だけを集めたもので(大事にヘアカットしているから赤ちゃんは大丈夫、痛くない!)ロイヤル・ベイビー・アルパカと呼ばれる。
また、アルパカには大きく2つ種類があり、
普通のアルパカと、
スーリーアルパカに分かれる。
スーリーアルパカは、その光沢感やトロトロとしたぬめりに定評があり、また普通のアルパカの10分の一しか採れないことで、希少でもある。
このスーリーアルパカの赤ちゃんからとった、ロイヤル・ベイビー・スーリーアルパカというものが存在するが、これは年間に世界で500kgしか採れないという、大変希少かつ貴重な原料である。
しかし紡績の取引単位は普通何トン~であるため、今まで誰も扱うことができなかったのを、ペルーの農家で発見、自らの目で確かめ、買いとることができた。
やったー! これぞ中小の強み。(ニヤッ)
ここから、世界で一番いいアルパカの糸~ 細い糸を紡ぎだすべく、ものづくりに入った訳である。しかしこれはかなり難易度の高い仕事で、なんと、最初の100kgは大失敗に終わった。このせっかく買いとった貴重な糸を五分の一もダメにしてしまった時のショックは、そうそう言葉で語れるものではない。
しかし、この時に四苦八苦して遂に編み出した、アルパカの新しい技法が、後にオバマ大統領夫人が着られたカーディガンに使われた糸と同じ、細いモヘアのストレート糸をつくるきっかけとなったのだった。