Making Things

2025.11.19

【Making Things】インターシャ・ジャカード

佐藤繊維の物作りのこだわりを紹介する【Making Things】がリニューアル

ニットにまつわる背景とお勧めアイテムを紡績ニットメーカーならではの視点でお届けいたします。

今回はインターシャ・ジャカードがテーマです。

 

「Intarsia」 インターシャ
 この言葉はイタリア語の「Intarsiare(インタルジアーレ)」から来ており、辞書を引くと、
「(ルネサンス期イタリアの)寄木象嵌(ぞうがん)、象嵌細工」とのこと。


 本来は木工の象嵌細工を指し、異なる木片を組み合わせて装飾をする技法であったインターシャは、ニットにおいても異なる色の糸を象嵌するように模様を形成することからこの名称が転用された。
 一見、ジャカードと同じようなもの、という解釈をされがちなインターシャはニット業界においては「分離編み」といった言葉も使われ、ジャカードの編み方とは根本的に異なる。
 ジャガード編みは複数素材( または複数色)のうち、ひとつの色が編まれている際、他の糸は裏側に隠れているが、インターシャの場合はブロックごとに編み分けて作ることが最大の特徴で、他の色や他の糸が裏に回ることがないためにジャカードよりも生地を薄く仕上げることができる。

 

  
 また分離されて編まれた各ブロックの境界線にある糸同士をねじることで連結をさせるため、手芸で用いられるパッチワーク( ハギレを縫い合わせて大きな布を作る) とは異なり、縫製をせずに一枚の編地を仕上げることが可能。

 

  そんな軽くてフラットなテキスタイルは連結部分の始末処理(お持ちの製品がございましたら、是非裏返してご覧くださいませ。)や、ジャカード回で述べたプログラミングの難易度を考慮すると手間とコストの負担は大きく、製造サイドとしては敬遠されがちなニットでもある。

(裏側の連結部分)

 

 

 

 佐藤繊維ではそんなインターシャを更に追求。


本来であれば同じ糸を複数色使うことが一般的であるのに対して、色、太さ、形状の異なる複数の糸を各ブロックで編み上げることを得意としている。


 このテキスタイルはディレクター・佐藤正樹が入社当時、すでに「型遅れ」と呼ばれていた編機で開発されたもの。当時のトレンドは編目の細かな「ハイゲージ」。 

その一方、手元にあったその型遅れの機種はハイゲージのように細かく編むことはできず、ローゲージほどの厚みもない中途半端なもの。資金的に最新機種を導入することが難しかった背景から佐藤は「この機械でどんなことができるか。この機械でしかできないことは何か」を考えた。


 出来上がったテキスタイルはブロック毎に編み目の大きさを変え、ざっくりとした透け感のある部分、きっちりと編み目が詰まった部分が一枚の中に同居する当時のファッション業界では見慣れないもの。

この技術に加えて多種多様な形状、色合いの糸を混ぜ込んだことで「佐藤繊維のインターシャ」が完成する。

これに飽き足らず、開発を進めた末に完成したのは「インターシャ・ジャカード」。


 分離編みのインターシャをベースとしながら、より細やかで複雑な柄を表現できるジャカードを組み込んだそれは唯一無二の技術と言える。
 世の中に流通するインターシャ編みのニットウェアは数あれど、それらは比較的シンプル、かつ大きな柄が描かれるが、佐藤繊維ではデザイナーがシーズンテーマに沿ってデザインした暖かみのあるハンドスケッチを忠実に再現する。


そこで表現される曲線の数々は編みの技術によるものもあれば、洗い方によって変化させるもの、糸の使い分けによっって繰り出される表情豊かな立体感など、これまで培ったノウハウを凝縮させたアートワークである。


 これらの工程を経て編み上がったテキスタイルは一枚、一枚丁寧な手始末作業で完成。

そして検品を経てお客様の元へ。
 山形で丹精込めて作った証は、このインターシャジャカードニットの表地はもちろん、裏地からも伝わるかもしれない。

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