Staff Blog スタッフブログ

いよいよピッティ vol.3 〜Pitti Immagine Filati

Vol 3 ~ピッティへの糸づくり


オリジナルの糸づくりが始まってから、私はどんどんその世界にのめり込んでいった。原材料へのあくなき探究心から、世界を歩き始めたのもこの頃で、ペルー、南アフリカ、アルゼンチン、オーストラリア、アメリカへと、羊、アルパカ、モヘア等の農家を訪れた。突き詰めれば詰めほど奥が深く、糸づくりのアイディアもどんどん膨らんでいった。


090626-1.jpg


そしてある時、自信をもって紡ぎだした新しい糸を、ジャパンクリエイションという、繊維の総合見本市で、発表する機会を得た。

オリジナル糸は大好評で、沢山の受注を得る事ができ、嬉しさのあまり天にも昇る気持ちだった。

ところが数ヶ月後、社内に返品のダンボールの山が積み重なる。


品質に難あり。   


自信を持って発表した糸だったが、強度が問題となり、ほぼ全品返ってきた。
社内には、私のつくった糸はもう売るな、という声も。 さすがに落ち込んだ。


安定したものづくりの難しさを痛感した瞬間だった。そこから、ひたすら商品改良と開発に打ち込む日々が続いた。
原料も見直す為に、世界を歩き続けた。農家の飼育環境や、羊毛/獣毛を進化させる為の交配の歴史、またそれぞれのこだわりを、自分の目で見て確かめ、理解を深めていった。


こうして何度も試作を繰り返し、3年の歳月をかけ、強度も伴った高品質の糸ができあがった。それは、製造行程で最新式の機械と、古い機械を組み合わせたものだった。


MASAKIの糸はこのようにして、徐々に進化していった。


その研究期間、ふりかえること10余年。

そして一昨年2007年、ピッティ・フィラーティ出展審査に、初めて申し込んでみた。


この審査はかなり厳しいもので、パスする自信があった訳では全くなかったが、出展OKの返事を貰った。
日本企業初の梳毛紡績出展である。


090626-2.jpg

何よりも、ここに出ることを夢見て始めた特殊糸づくりだった。


10数年来の夢が遂にかなった!!  妻と、心の底から喜び合った。

« Prev | Next »