佐藤繊維の物作りのこだわりを紹介する【Making Things】がリニューアル
ニットにまつわる背景とお勧めアイテムを紡績ニットメーカーならではの視点でお届けいたします。
今回はミックスジャガード、ニットシーズンならではのテーマです。
佐藤織維ブランドの代名詞とも言える「ミックスジャカード」
織物と編物、そのどちらにも無数のジャカード製品がこの世には存在するが、
佐藤織維ブランドのミックスジャカードは一般的なそれらとは異なる。
特筆すべきは色数と素材の幅。まっすぐ均一な糸もあれば、凸凹とした不均一な糸も見受けられる。
くるくるとしたものもあれば、ふわふわとしたもの、なめらかなものもあれば、ざらざらとしたものも。
形状だけでも数えきれないほどの糸が、一枚だけのテキスタイルに入り込み、あざやかな色、深みをもった色、
虹のようなグラデーション状に染まった色などが複雑に絡み合う。唯一無二とも言えるこの技術が佐藤織維の真骨頂。
M.& KYOKO や FUGA FUGA におけるこの特徴的なテキスタイルは
一人のプログラマー(テキスタイルを編む機械に組み込むプログラムを作るスタッフ)である大沼和敏によって生まれたもの。
ブランド立ち上げ以前から今日に至るまで、佐藤織維を影から支え続け、
今もお魅力あるテキスタイルを生み出す彼のアイデアはどこから生まれたのか。
ブランドのローンチから数年後、クリエイティブディレクター・佐藤正樹とプログラマー・大沼和敏により、
「ミックスジャカード」の原型が出来上がる。
二〇〇八年秋冬シーズン。
ここで出来上がったテキスタイルは、大沼がこれまで培ってきた技術と経験を生かした天竺
(最も一般的な編み方でティーシャツ地のようなもの)と、リンクス(凸凹感のある編み方)を組み合わせたもので、
現在の定番ジャカードと比べると、幾分シンプルなものであったそれは、
正樹、アシスタントデザイナー達との幾多にも及ぶ開発が行われ、シーズンを経るごとに、
より複雑で、より魅力的なテキスタイルへと進化を遂げる。
ニットウェアのテキスタイルを編み上げるにあたり「プログラミング」は必要不可欠。
例えるのであれば「方眼紙」状のコマ一つ一つに「どのように編むか」「どの糸を使うか」の指示を入れ込むことがプログラミング。
「塗り絵」のように見えるが、無理のある指示を入れると編むことが出来ず、糸が切れてしまったり、
編み針が折れることもある。その一方で編みやすさを最優先すると凡庸なテキスタイルになってしまうのが難しいところ。
プログラマーから言わせれば、この仕事は「永遠に壁と戦い続けること」だそうで、
苦しい思いをして一つの壁を乗り越えても、また新たな壁が立ちはだかり、それをまた乗り越えるために全身全霊で取り組む。
永遠に終わりのない苦行のように思えるが、大沼はこの仕事にやりがいを感じ、楽しさすら覚えるらしい。
言葉を選ばずに言えば、このこのような稀有な「人種」がいるおかげでこの作品を身に纏うことができるのである。
大沼は毎シーズン百種類近い「柄」を作り、それらを組み合わせてテキスタイルが出来上がる。
レギンスであれば、組み合わせる柄は三十種類以上、ワンピースであれば、
それは六十種類以上をどのように組み合わせて美しくなるかをデザイナー達と試行錯誤し、探し求めると言う。
言わば「柄の探究者」である大沼に注目してほしいポイントを聞いてみたところ、
「他社が絶対に真似の出来ない、または真似をしようと思っても難しすぎてやりたくないと思わせるようなテキスタイル」とのこと。
一年間に四シーズン(四百種類超!)、毎回異なる柄を創り続ける「大沼ミックスジャカード」を目と手で楽しんでください。

2009年コレクション(現在は販売しておりません)

2018年コレクション(現在は販売しておりません)

2025年最新コレクションより