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Pitti Immagine Filati 2009


NYから戻って1週間半、一層に走り回る日々が続いている。

今年は、フィレンツェでのピッティの後、NYでのスピンエクスポに出展した。途中1週間山形へ戻りはしたが、山積みの業務をこなすのに必死の毎日である。


さて、今回のピッティはお陰様でまた大盛況に終わった。

7月6日に準備に入り、前回のテーマであった"赤"を"緑"に、竹材を持ち込み、緑のグラデーションのニット筒で什器を飾り、団扇にスワッチを貼って飾り、解り易く"和"を表現した。

今期待ちきれずにデビューさせた、手芸糸ライン MASAKI の評判も上々であった。


MASAKI DM.jpg


デビューのテーマは、光と陰〜陰陽に通じる二つの世界を1本の糸に閉じ込めよう、というものだった。素朴な風合いの原糸に、輝きのある糸を和える。日本特有の精神世界を、というと大袈裟に聞こえるが、表現したかったのはまた、侘び寂びであり、奥ゆかしさという、相対する糸に昇華される控えめな輝きや、色彩だった。

"和"のディスプレイも、どれだけイメージが伝わるか心配であったが、3日間とも大いに混み合い、成功と言えたのではないかと思う。他の展示ブースがかなり敷居高く施行されているのに対し、うちのブースは全く異なるオープンな演出で、通りがかりの人々も引き込む。出入りの多さからもちょっとしたお祭りのようでさえあった。


ランバン、ニナ・リッチ、ルイ・ヴィトン、グッチと、初出展の時から来てくれているブランドのデザイナー達と、一年ぶりの再会を喜びあえたのも嬉しい限りであった。お互いのものづくりへの理解もより一層深まった、気の知れた仲間のようであり、また互いへのリスペクトも高まってきている。糸から編地への様々な可能性を彼等と話すのは、最高の刺激となり、何よりも楽しい時間である。また来年!と固く握手を交わした。

市場調査を兼ね回ったミラノやフィレンツェのラグジュアリーブランドのウィンドウに、佐藤繊維の糸を沢山見つけたのにもかなり興奮を覚えた。これについては次回に記そうと思う。


さて、このMASAKIであるが、このようにトップブランドのデザイナー達と仕事をすることの大きな刺激も手伝い、糸創作の新たな可能性を徹底的に追求しようとしたことから始まった。値段から始まる糸づくりという殻を破りたい!という私の密かな挑戦ともなった。手芸糸は、この一巻きでセーターを作ったらいくらになるか、を計算して作られるのが通常だが、創作表現のみを追求する手芸糸づくりを、ずっと暖めてきた。NYのエクスポでもエージェンシーの手があがるなど、良い滑り出しである。

従来の糸のラインも品番を更に増やしていることもあり、仕事量が明らかに増えている。展示会当日ギリギリとなったものや、諸々の準備が追いつかないなど、相変わらず反省し続け、しかしともかく進み続けている。

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