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黄色い糸の話

その朝 ーー
実は、このニュースが私の耳に届いたのは、社員全員を一巡した後~
いつものように、一番後だった。
オバマ大統領夫人が、大統領就任式に着られていた黄色のニットに、
うちのモヘア糸が使われていたらしいー!?

正直最初は、あ、そうなの??? くらいの感じだった。

しかし、電話などで人々にこの吉報を告げていくうちに、だんだん事の重要性が、
体に落ちていき、ジワジワと感動がひとしおになったー という次第であった。

走馬灯のように思い起こす、このモヘアの原料を買った農家の人々、
糸にする技術を開発するまでの苦労、実はこの糸は、
うちがー 佐藤繊維が、世界で初めて糸にするに至ったものなのである。

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アフリカはカンデブー地区のモヘア農家が、100年以上かけてモヘアを交配し、
つくりだした、情熱の集大成とも呼ぶべき最高の原料。
あまりの繊細さに、今まで誰も糸にすることができなかったのだ。

このエクストラ・ファイン・モヘアが、世界で初めて糸になりー、
佐藤繊維の初めてのイタリア:*ピッティフィラーティ出展と同時に出品されー
(*ニット糸の最高峰の展示会。布地のプルミエールヴィジョンに並ぶものだ。)
最初の展示会で受けたオーダーとして初めて輸出され ー

それが製品化された最初のシーズンに、
アメリカ最初の黒人大統領であるオバマ大統領が就任し ー
その晴れの舞台である、大統領就任式に、アフリカをルーツに持つ、
ミッシェル夫人に着用された。

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これは、偶然が偶然を呼んだ、奇跡、
まるで宝くじを当てるような出来事ではないかー!!

全く想像もつかなかったメディアの反響に、しばらく完全パンク状態の日々が続いた。
訳もわからず必死でしゃべりまくっているうちに、自分自身の中にも、
このものすごくドラマティックなストーリーが整理されていったのだった。

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